【DEMO】in sea/もがくひと


 

 Track by:massaki tonegawa&Sick Beats
 Word and song:Ruta

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 空の境界は曖昧なcolor。旅立ちを迎える名もなき朝。
 咽び泣いた空も赤らんで瞼を腫らし、もう来ないと知っている風を待ち望んでいる。
 私は波間に立って、打ち寄せる後悔と戦う。迫りくる明日に抗う。
 刀のように切りつける飛沫と共に、新しい日の出をただ、望み続ける。
 遠くで聞こえる、海猫達の声。あても無く浜辺を彷徨う。「私は何処へ」
 何故か私の魂は海に惹きつけられる。それはまるで母の胎内に還りたがっているかのようだ。
 汗と泥にまみれた両手を眺めてみる。私の身体は数多の命と引き換えに生きている。
 残酷なまでにこの星の鼓動は鼓膜から流れ込んでくる。ああ、青い。目の前は青い。

 私の指を小魚が齧る。海の底を眺めたくて私は全身の力を抜いた。
 息苦しさと恐怖、何も見えない空間。重力という法則から解き放たれた瞬間。
 目の前で様々な時間が流れている。過去・現在・未来。此処では全てが共存している。
 海は地上にある宇宙だと誰かが言っていた。このまま漂えば私もあの頃に戻れるんだろうか。
 光る海月は目の前に現れて、その甘えをあざ笑うかのように傘を広げ通り過ぎて行った。
 長い触手は私の道標となって、私は息を失う前に水面に辿り着いた。
 照り付ける太陽は容赦なく肉体を焼いて、まるで生まれたての赤ん坊のように私は泣いた。
 遠くで棲み処を主張するように大きな魚が跳ねた。そしてぴかぴか光る雲がやってくるのが見えた。

 雨ざらしの古ぼけたパラソル。梅雨の終わりを告げる雷が遠くで鳴り響く。
 大粒の雨が熱を持った肌に降り注ぐ。私は体全体で歓喜の叫びを上げる。
 全ての生き物は海で始まった。さしずめ私も一匹の獣みたいだ。
 誰もいない砂浜で私は大いに笑った。孤独な雲を雷鳴が切り裂いてくれたような気がしたんだ。
 空き缶に雫が当たり世界が歌い始める。荒れ狂う波達はざぁざぁと合唱をしている。
 私も言葉ではない歌を大声で歌い続ける。歯車が回り噛み合ったと何故かその時感じる。
 雨は止んで特別な演奏会は終わりを告げた。雲が晴れて眩しい日差しが顔を出した。
 雨宿りをしていた海猫は、空を駆け回り、大きな声で鳴いて夏の始まりを私に告げたのだ。

 

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ZAREX

Author:ZAREX
サークル「ザレごま炒め」
言葉・文章・小説 担当
Fracreatal Studio事務担当
関西シリーズ 主催

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2016年07月18日更新

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2010年12月24日
アルバム「戯言=X」発表。
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配布終了

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